デザイナーの心は混乱の渦に飲まれていた。
何ということだろう、ボスが突如として言い出した。「パタパタのミニチュアを作りたい、注文できるみたいだから」。
パタパタ――それは駅や空港で目にするあの独特の案内表示だ。それを我々のプロモーションに使うだなんて...その魅力は確かに認めるが、それが我々のビジネスとどう結びつくのだろう?
しかし、その疑問を飲み込みつつ、彼女は決意する。とりあえず、その実物を見るべきだ。そして彼女は、ボスと共に新たなる挑戦の場、A社へと足を進めるのだった。
こんにちは、初めて記事を担当します。「彼女」こと、パタパタのデザイン担当、KNDです。よろしくお願いいたします。
ちなみに実物を拝見したらとても素敵だったのでやってみたさが先行して上記の疑念は全て忘れることにしました。面白い機会をありがとうございます。
目次
停車駅
パタパタを使ってディーネットをどう表現するか?
まず最初の課題は、「このパタパタ流れるものを使ってどういう感じでディーネットのアピールをしようか?」ということでした。
本来の駅のパタパタ表示というのは高速でフラップが回って表示するところでピタッと止まる、というものです。
(参考動画:京急川崎駅の「パタパタ」案内装置、ついに引退 日本経済新聞)
つまり、サービスをパラパラと並べる……?などと漠然と考えていたのですが、
既存の製品サンプルを見せていただいたところ、本来のミニチュアの他に「ゆっくり順番で見せることによりストーリー性を持たせる」というものもあり、これも面白いよね〜!と盛り上がった結果
- 本来のパタパタっぽくディーネットのサービスをパラパラと表示してランダムに見せる
- コピーやイラストを使ってパラパラ漫画のようなメッセージのある表現をする
の2パターンどちらかの方向で行こう、ということになりました。迷いますね!
ちなみにプリントがとても細かく出るのでイラストなども再現できるそうです。すごい。
そもそも動かせるのかこれ
さて、どちらの方向にするかとなったところで、どうもこれは展示方法を基準にして検討しないといけないということに気づきました。
本来のパタパタを模すなら「高速で回って何かしらの箇所で停止する」、ストーリーとして見せるなら「文字を読ませる程度の速度で回す」、という見せ方が必要になってきます。
モーターとか要りますね。はたしてうちでそんな高度な工作ができるのか?いや、そもそも自動で動かして展示できるのか?
ちょっとよくわからないけれどどちらか実現可能であれば、そちらの見せ方にしよう…と工作担当技術班に打診したところ、
「モーター工作ですか?できますよ!任せてください!」
との頼もしすぎる回答が!すごい!うちの技術班すごい!
「速度制御?Raspberry Piでやりますよ!早いのも遅いのもランダム停止もできますよ!」
すごい!ハイテク!
大喜びしたデザインチームは、それならば目的に応じて速度とか変えちゃおうということで
「パタパタ回ってランダム停止」「ゆっくりと読ませる表示」のどちらでも対応できるいいとこどりデザインをすることになりました。めでたしです。
パタパタっぽいイメージも入れて完成!
上記までの工程を元にチーム内でああでもないこうでもないと揉んだ結果、「STAR★FLAPディーネットバージョン」の製作コンセプトが以下のように決まりました。
- ディーネットのサービス全般をアピールできるもの
- 基本は速めに動いてランダムで止まる仕様
- ゆっくり表示にも備えて、カテゴリの合間にコピーを挟むストーリーっぽい感じ
- ランダムに止まる仕様を考えて文言は1プレートで完結させる
- ちょっぴり駅のパタパタをイメージしてビジュアルを作る
よくばり仕様です。
こちらを元に、無事フラップのデザインデータが完成しました。
見た目としてはやっぱりパタパタっぽいのがいいよね〜ということで黒ベース、カテゴリはちょっとこだわって電車の種別っぽくしてあります。それっぽくなりましたか…?
こちらを含め、全部で24枚のフラップが動作します。
実物も無事仕上がってきまして、こんな感じになりました!
細かいロゴも綺麗に印刷されておりクオリティが高い!
これが実際どのように展示されるか、次の停車駅をお楽しみに。
マーケティング部でデザインを担当しています。