寒くなってきましたね、ディーネットのよろず請負の深見です。
今回は、仮想化基盤構築で有名な VMware のお話です。
前回のバックアップのお話とあわせて、不定期ながらも VMware と仮想化環境についてまとめていきます。
さて、VMware の仮想化環境をご利用の方にはご存知の機能 vMotion についてです。
※vMotion は、VMware 社の提供する機能の名称です。
vMotion は、稼動している仮想マシンをシャットダウンすることなく、動かしたまま別の物理サーバに移動する機能です。
この機能は、仮想化環境を構成する物理サーバの交換メンテナンスなどの際に便利です。
この vMotion によって、停止する物理サーバから別の物理サーバへ仮想マシンを退避しておくことで、仮想マシンとして、あるいはその仮想マシンの提供しているITサービスとしてはダウンタイムがなくなります。
※この vMotion が提供する機能は、一般的にはライブ マイグレーションと総称される機能になります。
以下に概要および、その挙動を述べます。
※以下については、主に vSphere 5.5 以降の対象とした内容となります。
vMotion について
仮想マシンをオンライン状態で異なるESXiに移行
・ vSphere vMotionを使用した仮想マシンのライブ マイグレーション機能
・ ダウンタイムなしのメンテナンスが可能となります
・ 継続的なサービス可用性
・ トランザクションの整合性
・ ストレージ構成にファイバ チャネルと iSCSI SAN、および、NASのサポート
vMotion の動作について
・vMotionマイグレーションでは、パワーオン状態の仮想マシンを停止なく移動が可能
ハードウェア全体の使用率を向上
ハードウェア関連のダウンタイムを削減
※次にvMotion の一連の動作(処理)を簡単に説明します。
vMotion の 動作 ~その1~
・ユーザは、現在 ESXi01 の仮想マシンA (VM A)にアクセス中
・仮想マシン A (VM A) の稼働中に ESXi01 から ESXi02 への移行を開始
※ESXi01をハードウェアメンテナンスをするため、仮想マシン A を移行します。
vMotion の 動作 ~その2~
・メモリ上にあるデータを ESXi01 から ESXi02 に事前コピー
・処理の進行中に生じるメモリ上のデータ変更を ESXi01 のメモリビットマップにログとして出力
vMotion の 動作 ~その3~
・ESXi01 の仮想マシン A を停止
・仮想マシン A のメモリ ビットマップのデータを ESXi02 にコピー
vMotion の 動作 ~その4~
・ESXi02 の仮想マシンを起動 (これにより、ESXi02へVM Aが移行します)
・ユーザが ESXi02 の仮想マシンA (VM A)にアクセス
vMotion の 動作 ~その5~
・移行の完了後に仮想マシンA (VM A)を ESXi01 から削除
※ユーザは仮想マシン A がESXi02 へ移行したことに気付きません。
vMotion その他の機能
・ vMotion のマルチ NIC サポート
1つの vMotion に対して複数のNIC の利用が可能
4 x 10Gbps NICs もしくは、16 x 1Gbps NICs までサポート
※複数の NIC を束ねることで、転送効率を上げることができます。
・高レイテンシネットワークのサポート (~10ms)
・タイムアウトによる vMotion のフェールを排除
[メモリ転送レート<メモリのDirty量]の場合、
vCPUをSleepすることで確実なvMotionの動作をサポート
【補 足】 vMotion の要件
・ESXi 間で、共有ストレージを保持していること (*)
FC SAN
IP SAN(iSCSI/FCoE)
NFS
VSAN
(*) vSphere 5.1 から共有ストレージなしの vMotion もサポート
(*)ダイレクト パス I/O
・ESXi 間で、CPUの互換性がある
KB:Intel プロセッサの vMotion の CPU 互換性要件 (2053215)
KB:AMD プロセッサの vMotion の CPU 互換性要件 (2078879)
KB:vMotion の CPU 互換性 - CPU の不一致による移行の阻止 - マスクのオーバーライド方法 (2078408)
・ESXi 間を、ギガビットで接続する必要がある
同一サブネット内に配置すること
vMotion 専用ネットワークとして構成する事を推奨
※vSPhere 6.0 以降では、vMotion 用のネットワークは異なるL2 セグメントに跨って構成できる
ようになりましたが、仮想マシンの接続されるネットワークについては同一の L2 ネットワーク
セグメントへの接続が必要です。
と長くなりました、今回はここまでとします。
次回は、vSphere 6.0 以降で vMotion は強化されていますので、その内容をついて
お話しようと思います。