目次
はじめに
こんにちは、ディーネットのよろず請負人、深見です。
先日、Dify v1.9.0のリリースをお伝えしたばかりですが、早くもマイナーアップデートとなるDify v1.9.1がリリースされました。今回は、このv1.9.1の主な変更点と改善内容についてご紹介します。
Dify v1.9.1 リリース概要
1,000人を超える貢献者に感謝を込めて
Difyは、多くの貢献者の皆様に支えられ、ついに1,000人目の貢献者を迎えたとのこと。今回のv1.9.1では、開発パイプラインの高速化、多言語対応の強化、ワークフロー実行の安定性向上、そして様々な機能改善とバグ修正が実施されています。
🛠 主な改善内容
1. 開発環境の刷新
今回のリリースでは、開発インフラの大幅な刷新が行われました。特に注目すべきは、Next.jsがv15.5にアップグレードされたことです。開発時にTurbopackを活用することで、ビルドパイプラインが劇的に高速化され、開発体験が向上しています。
また、マーケットプレイスAPIアクセスにX-Dify-Version
ヘッダーが追加され、トレーサビリティが向上しました。セキュリティレポート機能も強化されています。
2. 知識パイプラインの多言語対応
内蔵パイプラインテンプレートが多言語設定をサポートするようになりました。これにより、異なる言語環境でもDifyをスムーズに利用でき、グローバルな展開が容易になります。
※これは助かりますね。v1.9.0 では英語表記だったので、ちょっと取っ付きにくかったですが、日本語になるとわかり易くなります。
3. キューベースのグラフエンジンの安定性向上
グラフエンジンにおいて、ストリーミング中にレスポンスノードが適切にブロックされるようになり、意図しない出力が防止されるようになりました。これにより、より安定したワークフローの実行が保証されます。
4. デバッグ・ロギングの改善
以下の問題が修正され、デバッグ時の安定性が向上しました:
- グラフエンジンにおける
NodeRunRetryEvent
のデバッグログの不具合 - 並列処理時のLLMノードのコンテキスト消失
- エージェント戦略プロンプト生成エラー
5. 検索機能の信頼性向上
全文検索の信頼性が向上したほか、検索入力フィールドにおけるIME入力時の値抽出の問題が修正されました。また、OceanBaseパーサー選択の説明がより明確になりました。
6. ワークフローの安定性強化
以下の修正により、ワークフローの安定性と信頼性が大幅に向上しています:
- ワークフロー変数の分割ロジックの修正
- ツールノードの互換性問題の解決
- イテレーション会話変数の同期の修正
- ナレッジベースノードのクラッシュ問題の解決
7. ファイル処理機能の強化
リモートファイル名の処理、ファイルアップローダーのコンテキスト同期、埋め込みドキュメントにおけるDB接続エラーなど、ファイル関連の様々な問題が修正されました。
8. パフォーマンスの最適化
以下の改善により、全体的なパフォーマンスと信頼性が向上しています:
- コードサンドボックスへのリクエストにおける
httpx
クライアントのプーリング改善 - 分散型プラグインの自動アップグレードタスクの並行制御
- Redisへのキャッシュ切り替え
9. UI/UXの改善
翻訳の精度向上、UIの一貫性確保、CSSアニメーションの不具合修正など、ユーザーインターフェース全般が改善されました。特に、日本語翻訳における不正確な表現も修正されています。
10. コードベースの品質向上
コンポーネントのエクスポートの一貫性確保、ルーターのリファクタリング、Lintスクリプトの簡素化、RAGパイプラインコントローラーへのデコレーター適用など、コードベース全体の品質が向上しました。
おわりに
Dify v1.9.1は、v1.9.0のリリース直後にもかかわらず、開発体験の向上、多言語対応の強化、そして数多くのバグ修正を含む充実したアップデートとなっています。
特に、Next.js v15.5へのアップグレードによる開発速度の向上と、ワークフロー実行の安定性向上は、実際の開発現場において大きなメリットをもたらすでしょう。
1,000人を超える貢献者に支えられたDifyの今後の発展にも、引き続き注目していきたいと思います。
追記
アプリ作成時に利用できるバンドルのテンプレートも日本語表示に対応しているようです。
※Dify を v1.8.0 などをバージョンアップしている場合、日本語表示にするには、ちょっとコツがいります。設定の [一般] - [言語] で日本語を再度指定すると更新され日本語表示なるようです。
本記事の内容は、Dify v1.9.1リリースノートに基づいて執筆されています。最新情報については公式ドキュメントをご確認ください。
参考リンク: GitHub リリースページ