データ保護としてのバックアップ

ディーネットのよろず請負の深見です。

以前にバックアップについてお話をしましたが、今回はデータ保護からのバックアップについて整理をしてみましょう。

バックアップは、大別すると「データバックアップ」と「イメージバックアップ」に分かれます。
以下に紹介していきましょう。

データバックアップ

バックアップ対象機器(PC/サーバなど)のバックアップする単位を「ファイル」もしくは「ディレクトリ/フォルダ」で行う場合です。
基本がファイル単位になるので、バックアップ方法としては汎用的です。
ファイル単位でのバックアップと言うことは、保存先がポータブルなメディアであれば別の機器に間単に移行することも可能になります。

最も簡単なものでは、OS(WndowsやLinuxなど)のコピーコマンド(copy/cp)で別メディアや別ディスクに複製を取ることです。
コマンドによる複製の場合、各種スクリプト言語を利用して、お手製のバックアップツールを個々に作成して利用することも可能です。
コマンドについても世代を経てくると高機能なバックアップ用コマンドなども各OSでは登場しています。

次に、この種のバックアップで利用するコマンドの例を以下に挙げておきます。

Widows OSでの例としては、robocopy が挙げられます。

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robocopyは、元々はリモートのファイルサーバ同士でファイルやフォルダ、ユーザープロファイルデータなどを同期させるために作られたコマンドです。
その名前は「Robust File Copy」の略で、堅固(robust)で確実なファイルコピーという意味を持ちます。
具体的な機能の例を以下の通りです。

 ・エラー時の再試行回数の制限や待ち時間の指定
 ・ネットワーク切断時のコピーの中断と再開
 ・属性やセキュリティ設定のコピー
 ・ファイルサイズや変更時刻などを限定してのコピー
 ・コピー先にある余分なファイルの削除
 ・256文字を超える長いパス名の処理
 ・動作ログの記録
 ・作業内容やオプション設定などをジョブとして保存
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Linux での例としては、rsync が挙げられます。

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rsync は 'remote sync' の略語で、Andrew Tridgell と Paul Mackerrrans が 1996 年から開発しています。
UNIX で良く使われているツールの 1 つで、データの同期を行います。ほとんどの Linux ディストリビューションでは、rsync は標準となっています。もしインストールされていない場合は、'rsync' パッケージをインストールします。

rsync は非常に強力なツールで、ファイルのコピー以上のことができます。
 ・ファイルのコピー
 ・同一PC上の異なるディレクトリ間での同期
 ・異なるPC間でのディレクトリの同期(ネット経由でも可能)
 などなど
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データバックアップは、あくまでファイル単位でのバックアップになるため、障害発生時のリカバリにはPCやサーバをOSのインストールおよび再設定の後にバックアップデータのリストアとなり、復旧までに数時間はがかかる作業となる可能性があります。復旧にかかる時間によって許容範囲かが問題になります。

イメージバックアップ

バックアップ対象機器(PC/サーバなど)のシステム全体をバックアップするディスクイメージを取得するものです。
システム全体をバックアップするので、そのPCもしくはサーバでディスクで異常が発生してデータ損傷するような
障害が発生した場合でも、そのディスクのイメージバックアップを元に戻す(リストアする)ことでバックアップを
とっていた時点への復旧が可能です。

Widows OSでの例としては、Windows バックアップ が挙げられます。
※以下は Windows7 のバックアップ関連の主な機能になります。
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ファイル/フォルダごとのバックアップや復元のほか、システム全体のバックアップや復元機能をOSの標準機能として提供しています。

 ・ファイル/フォルダのバックアップ/復元
 ・手動バックアップ
 ・スケジュール・バックアップ
 ・ネットワークへのバックアップ
 ・システム・イメージのバックアップ
 ・wbadminコマンド(CUI操作)
 ・以前のバージョン(ボリューム・シャドウ・コピー)によるファイルの復旧
 ・グループ・ポリシーによるバックアップ機能の制御
 ・システムの復元
 ・Windows回復環境(システム修復ディスク)の作成
 ※エディションによって提供する機能は違いことがあります。
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Windowsに標準のツールですが、バージョンアップにつれて機能アップなども図られ、
イメージバックアップだけではなく、ファイル/フォルダ単位でのバックアップも可能となっています。

同様のものは、個人向けの商用パッケージで様々な製品が販売されています。
例としては、Arconis True ImageやParagon Backup & Recovery 16 Professional、HD革命 BackUp Nextなどがあります。

また、サーバ向けに同様に商用パッケージが販売されています。
代表的なものでは、Arcserve UDPやBackupExec、Acronis Backup 他があります。
基本的な機能は、先にあげた Windows バックアップと大きく変わりはありませんが、各社で固有な機能を搭載して差別化を図っています。

バックアップ媒体からの観点にて

時代の変遷と共に様々な媒体(メディア)が登場しています。
テープ媒体、フロッピーディスク、CD/DVDメディア、ハードディスクなどが挙げられます。

テープ媒体は、現在でも利用はありますが、一部の大型機器などでの利用に留まるかと思います。
専門的なコンピュータシステムなどで過去から継続的に利用している場合が多いかと。

フロッピーディスク(FD)も一時期はコンパクト性からもてはやされましたが、扱い易い大容量のメディアが登場することで標準の座を奪われました。
OSやアプリケーションのデータ容量も大きくなり、FD 1枚では収まりきらないことなどもあります。

CD/DVDメディアは、サイズ、保存容量共に十分なものであったことから、今でも保存先としてよく利用されています。
ただ、データの長期保存に向くかは、そのメディアの材質によるところがありますが、あまり長期の保存には向かないようです。

ハードディスクは、これを使用した記録装置が安価かつ扱い易くなって出回るようになって、利用への敷居が低くなったことで主として利用されています。
接続形式もUSBを利用する増設ディスクタイプやネットワーク経由で利用するNASなどと様々あり、利用者の必要に応じたものを導入し易くなっています。
中小や個人ベースでもNAS(Network Attached Storage)を手軽に利用できるようになり、ネットワーク越しにバックアップすることが多くなっています。
簡単なNASへのバックアップとしては、PCからNASにアタッチしてネットワークドライブとして利用して、ここにファイルやフォルダをコピーなどして保存することです。
この場合もPCのハートウェア障害時の対応は先の場合と変わらずで、PC自体の復旧からはじめなければなりません。

このようなバックアップ媒体とバックアップ方式との組み合わせで、柔軟なバックアップを行うことができます。

お話が長くなりましたので、今回はこの辺で区切りと致しましょう。

次回以降では、個々にバックアップについての細かい例などを交えられればと思います。

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