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サーバ屋に入っても何かと回線に縁があります。ソリューション課の小林です。
本日は、少し前に(特定の業界で)話題になりました、「2024年 ISDN終了問題」 を取り上げてみたいと思います。
目次
ISDNって何ですか。と言う疑問。
去る11月にNTT東西から以下のニュースリリースが発表されたのは記憶に新しい所です。
https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/17/20171017_01_1.pdf
ISDNと言えば、一般家庭や企業でよく使われる電話サービスだとご存知の方は多いでしょう。
アナログ回線電話と異なりデジタル信号方式なので、「同時に2通話できる」「INSネットなるデジタル通信でのネットができる」などなど、古くは1990年代からインターネットに慣れ親しんできた諸氏にはお馴染みのサービスですね。テレホーダイからフレッツISDNが出てネット繋ぎたい放題だヒャッホー!とか、そんな話が判ってしまうアナタは歳がバレます。はぃ。
とにかくISDNと言うのは「電話サービスの一種なんだなぁ」・・・と、そのくらいの認識を持って頂ければいいんじゃないかと思います。
ISDNサービスそのものが終わるわけではナイと言う事実。
さて、たまーにどこそこのニュースサイトで「ISDN終了!」と煽っている記事を見かけますが、ちょっと不正確です。ISDNが爆発するとINSの電話もネットも使えなくなりますから・・・それはもう大パニック間違いなしです。もう全員「ひかり電話にしなさい」と言わんばかりです。(いや。NTTはとにかく光にしたくて仕方がないんです!)
※ 総務省の統計でも平成29年9月末のNTT東西のISDN加入件数はまだ268万件も残っている。
終わるのはISDNサービスの中の一つ『デジタル通信モード』が、終ります。通話系サービスは引続き利用出来るんですね。
デジタル通信モードが終わる理由とは?
それはNTT東西の電話網がPSTN網からIP網へ切り替るからですね。
PSTN網って何、IP網って何と言うのは・・・この際、置いておきまして。両者の決定的な違いは"品質"です。もっと具体的に言うと「遅延の少なさと信号ロストの少なさ」に尽きます。そのぐらい、IP網に比べてPSTN網は信頼性が高いんですね。
2000年初頭以来、東西NTTは回線網のIP化と、オフィスやホームの加入者末端線を「光ファイバー」へ切替推進してきた結果、旧来のPSTN設備網の維持コストが嵩むようになって来てしまったのですね。(加入者電話の件数が減れば当然ではありますが・・・)そこで、ユーザ建物内部は手をつけずに局舎から上位の網側をIP設備に切替えてしまうという大技に出ようと画策したのであります。しかし、IP網にはPSTN網ほどの信頼性が無い・・・と言う致命的な欠点があったワケです。(というか仕様です。仕様・・・)結果、品質を保証できなくなる「デジタル通信モード」が切り捨てられる事になったというワケですね。
デジタル通信モードの終焉でダメージを受ける分野。
ISDNで通信出来なくなるなら光に乗り換えればいいじゃないか、むしろ、今の時代ISDNで通信使ってる人なんて居るのか!?・・・そんな声が聞こえてきそうですが。世の中まだまだ居るんです。どちらかと言うと人ではなく分野ですね。
ダメージを受ける分野・・・。それは『EDIと言う電子データ商取引の分野』です。商取引の電子データを企業間で交換するのに使われている仕組みの事です。判り易く言えば、店舗のレジ端末から売上情報をサーバに送るとか、会計時のクレジットカード決済の情報とか、商品の受発注や荷受け発送処理といったシステムに使われています。果ては銀行の振り込みなどの通信もです。
なんと、これらのシステムで使われるEDIの通信、未だに「電話回線(ISDNやアナログの)」が現役バリバリなのです。30年も前の技術ですが、その低遅延とロストの無さと言う品質を安価な電話回線で利用できるとあって、未だに猛威を奮っているのですね。
EDIの世界も、ブロードバンド化とIP網の発達に伴って環境に適用させるための進化は遂げて来ているのですが、やはり設備を入換えないといけない(=ISDNの設備から光ネット回線に)、ソフトも変えないといけない(=WEB-EDIシステムへの入替)、遅延やデータロスト対策もしないといけない・・・と言う事で。なかなか切替が進まないのが実情なのです。
当社でも PSTN網を利用したEDIシステムを運用されているお客様をチラホラお見かけ致します。来る2024年までになるべく早めにWEB EDIの仕組みに移行を検討される事を、お勧め致します。